家庭用プリンターを選ぶ際、画質・速度・維持コストなど「どれを重視するか」で適切な機種も変わってきます。
今回ご紹介する PIXUS TS8930 と PIXUS XK140 は、いずれも新製品として登場した注目のインクジェット複合機です。
TS8930 は “6色ハイブリッドインク搭載・高速印刷” というスペック重視のモデル。
写真の階調表現やスピードを重視した使い方に向いています。
一方 XK140 は “5色ハイブリッドインク・低ランニングコスト” を前面に打ち出し、日常の文書印刷や家族利用を意識した設計です。
この記事では両機種のスペック比較から、あなたがどちらを選ぶべきかを明確にするためのチェックポイントまでを丁寧に解説します。
製品概要:TS8930 と XK140 の位置づけ
TS8930 と XK140 は、いずれもキヤノンの家庭用インクジェットプリンター「PIXUS」シリーズの中核を担うモデルです。
両者は同時期に登場した兄弟機とも言える関係であり、共通する機能も多くありますが、ターゲット層と得意分野に明確な違いがあります。
TS8930 は「写真画質とデザイン性を重視した上位機種」で、より高品位な出力や多用途な利用を目的としています。
一方で XK140 は「低ランニングコストと日常文書の快適印刷」を主軸に置いたモデルです。
家庭での印刷用途が写真中心か、それとも文書中心かによって、最適な選択が変わる構成になっています。
どちらも無線LANやスマートフォン連携など最新の接続性を備えており、使い勝手という面では共通する快適さがあります。
TS8930 の特徴と想定ユーザー
TS8930 は、6色ハイブリッドインクシステムを採用した PIXUS シリーズの上位モデルです。
顔料ブラックを含む構成により、文字も写真もくっきりとした発色を実現します。
印刷解像度は 4800×1200dpi、写真の階調再現性に優れており、光沢紙での写真印刷ではプロクオリティに迫る品質が得られます。
また、前面・背面の2WAY給紙や自動両面印刷にも対応しており、文書印刷の効率性も高い点が特徴です。
家庭内でのフォトブック作成、写真年賀状、子供の作品印刷など“作品志向”の使い方をするユーザーに適しています。
XK140 の特徴と想定ユーザー
XK140 は、5色ハイブリッドインクを採用した PIXUS のコストパフォーマンスモデルです。
文字の黒がくっきり印字される顔料ブラックを搭載しつつも、カラーインクを効率化することで、印刷コストを抑えています。
写真印刷の階調は上位機種に劣るものの、文書やグラフ、チラシなど実用的な印刷には十分な画質を確保しています。
また、インクカートリッジが大型化されており、交換頻度を減らせるのもメリットです。
ビジネス資料や家庭内のプリント学習、年賀状などをバランスよく印刷したいユーザーに向いています。
主要スペック比較
PIXUS TS8930 と XK140 の違いをより明確に理解するには、スペック面での比較が欠かせません。
ここでは、インク構成や印刷画質、速度、コスト、機能性といった主要項目を中心に、それぞれの特徴を掘り下げます。
どちらも家庭用として十分な性能を持ちつつ、優先すべきポイントが異なるため、自分の利用スタイルに合わせた比較が重要になります。
インク構成・印刷画質
TS8930 は 6色ハイブリッドインク(顔料ブラック+染料5色)を採用し、写真やグラデーションの滑らかさで大きな優位性を持っています。
一方、XK140 は 5色構成で、特に文書印刷の効率とコストパフォーマンスを重視した設計です。
印刷解像度はどちらも 4800×1200dpi ですが、階調表現や肌色の再現性は TS8930 のほうが自然で鮮やかです。
写真中心のユーザーには TS8930、文書中心のユーザーには XK140 が最適です。
印刷速度・ノズル数・その他印刷性能
印刷速度は、TS8930 がL判写真1枚あたり約17秒、XK140 が約19秒とほぼ同等です。
ただし、ノズル数は TS8930 のほうが多く、細かなディテールや色のつながりが滑らかに出力されます。
また、自動両面印刷やCD/DVDレーベル印刷などの機能は両機種とも搭載されていますが、細かいUIや操作性の点では TS8930 が一歩上です。
印刷を頻繁に行うユーザーにとっては、このわずかな性能差が快適さにつながります。
印刷コスト/ランニングコスト
XK140 の大きな魅力は、印刷コストの低さにあります。
キヤノン独自の低コストインクシステムを採用しており、1枚あたりの印刷単価が TS8930 よりも明確に安価に設定されています。
標準インクタンクに加えて大容量タンク(XKインク)を選べるため、インク交換の手間も減り、家庭での利用コストを長期的に抑えることができます。
一方 TS8930 は、6色構成ゆえにインク消費量が多く、写真印刷中心のユーザーにとってはやや維持費がかかる傾向です。
印刷頻度が高く、日常的に資料やチラシを大量印刷する場合は XK140 のコストパフォーマンスが際立ちます。
給紙方式・操作性・機能(UI/接続)
どちらのモデルも前面カセットと背面トレイの2WAY給紙に対応し、A4サイズからL判写真まで柔軟に扱えます。
タッチパネルは TS8930 が4.3型液晶、XK140 が3.0型液晶を搭載しており、視認性と操作感で差があります。
また、TS8930 はWi-Fi Direct、AirPrint、Mopria、クラウド印刷など幅広い連携機能を持ち、スマートフォンからの直接印刷にも対応。
XK140 も同様の機能を備えていますが、設定やレスポンスの速度面でわずかに上位機種のTS8930が優れています。
どちらも家庭でのワイヤレス利用に十分な快適性を提供しています。
選ぶ際の違い・メリット・デメリット
TS8930 と XK140 の選択は、主に「画質を取るか、コストを取るか」で決まります。
ここでは、両モデルの長所と短所をそれぞれの利用シーンから整理し、自分に合った選び方を導きます。
デザイン性・静音性・使い勝手の点では大きな差がないため、用途の明確化が最も重要な判断材料です。
画質重視の選び方(TS8930 が優位な点)
写真の発色、階調再現、細部のシャープさといった「画質面」で優位に立つのが TS8930 です。
特に光沢紙やフォトペーパーでの出力においては、XK140 よりも深みのある色表現が可能です。
また、グレーインクを含む6色構成により、モノクロ印刷でも滑らかな階調が得られます。
作品制作や写真趣味のユーザーにとっては、コストよりも品質を優先すべきモデルと言えるでしょう。
「家庭でフォトラボ品質を楽しみたい」人には TS8930 が最適です。
コスト重視・日常使いの選び方(XK140 が優位な点)
XK140 は「経済性」と「手軽さ」を重視したモデルです。
大容量インク対応により、1枚あたりのコストを低く抑えられるほか、インク交換の頻度も少なく済みます。
さらに、プリンター本体価格も TS8930 よりやや低く、導入コストの面でも有利です。
日常の文書や宿題プリント、チラシ印刷などが中心のユーザーにとっては、十分な画質と経済性を両立しています。
「使いやすく、コスパの良い1台がほしい」というニーズに最適な選択肢です。
どちらが自分に合っているかを判断するためのチェックポイント
・写真印刷の頻度が高い → TS8930 を選ぶ
・印刷コストを抑えたい → XK140 を選ぶ
・印刷スピードや機能性を重視 → TS8930
・資料印刷や家庭学習が中心 → XK140
・より高級感のあるデザイン・操作性を求める → TS8930
こうしたチェックを行うことで、自分に合ったモデルを明確に判断できます。
迷ったら「用途中心」で考えるのが失敗しないコツです。
購入前の注意点・使い方のヒント
購入する前に確認しておきたいのは、印刷用途以外の実用面です。
たとえば、設置場所のサイズ、インクの交換しやすさ、Wi-Fi 環境との相性など、日常的に使用する際の利便性に関わる要素は意外と見落とされがちです。
TS8930 と XK140 は基本構造が似ているため、操作感やメンテナンス性は近いものの、実際の使用環境によって満足度が変わることもあります。
ここでは購入前にチェックすべき実用的なポイントを紹介します。
インク交換・維持費について
TS8930 は 6 色インクを使用するため、1 本あたりのコストが積み重なる傾向があります。
一方で写真品質を重視するユーザーにとっては、その発色や深みのある色表現が価格に見合う価値を生み出します。
XK140 は 5 色構成のうえ、対応インクの容量が大きいため交換頻度が少なく、トータルコストを抑えられる点が魅力です。
また、どちらのモデルも純正インク以外を使用するとトラブルや発色不良のリスクがあるため、純正カートリッジを選ぶのが安心です。
維持費を長期的に抑えるには、大容量インクタンクの導入と印刷頻度のバランスを意識することがポイントです。
設置スペース・給紙条件・静音性など
TS8930 はデザイン性に優れたコンパクトボディながら、背面給紙を含む設計のため、背面に数センチの空間が必要です。
一方、XK140 は本体サイズがわずかに小さく、設置スペースをより柔軟に確保できます。
どちらも動作音は静かで、夜間や集合住宅でも気兼ねなく使える静音モードを搭載しています。
また、自動両面印刷を頻繁に利用する場合は、用紙の厚みやカール具合を考慮することが快適な印刷につながります。
設置前に給紙トレイや背面カバーの開閉スペースを確保しておくと安心です。
スマートフォン/クラウド連携・Wi-Fi環境などの実用面
TS8930 と XK140 はいずれもスマートフォンアプリ「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」に対応しており、写真や文書をワイヤレスで簡単に印刷できます。
また、Google ドライブや Dropbox などのクラウドストレージとの連携も可能で、パソコンを介さずに印刷できるのが魅力です。
Wi-Fi 環境については、2.4GHz 帯の接続を推奨します。
5GHz 専用ルーターを使用している場合、接続できないケースもあるため、事前にルーター設定を確認しましょう。
さらに、家庭内の複数デバイスから同時印刷する場合は、通信帯域を安定させることでストレスのない利用が可能になります。
こうした設定を整えることで、TS8930・XK140 どちらも最大限のパフォーマンスを発揮します。
まとめ
プリンター選びにおいて、「画質」「速度」「維持コスト」「設置環境」のどれを優先するかは、使用スタイルによって大きく異なります。
<TS8930>は6色ハイブリッドインクや高速印刷機構を備え、写真や作品仕上げなど“高画質・高速”を求める用途に非常に適しています。
一方<XK140>は5色ハイブリッドインクながら印刷コストが抑えられ、日常的な文書印刷や家族で使うプリンターとして“コストパフォーマンス重視”の選択肢です。
購入前には、「どれだけ写真を印刷するか」「1ページあたりの印刷コストをどこまで許容できるか」「設置スペースや給紙・操作のしやすさはどうか」などをあらためて検討してください。
どちらを選んでも最新機能で満足できるモデルですが、用途に応じて“最適な1台”を選べば、日々のプリント環境がより快適になります。


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