家庭用インクジェット複合機を選ぶ際、「画質」「速度」「コスト」「使いやすさ」など、重視したいポイントは人それぞれです。
今回注目するのは、キヤノンの新モデルである「PIXUS XK140」と「PIXUS XK510」。
スタンダードにコスト重視のXK140と、写真画質・多機能を重視したXK510。この２モデルのスペック・機能・ランニングコストを比較することで、あなたにぴったりのプリンター選びをサポートします。
用途に応じた“選び方の視点”もあわせて紹介するので、初めての導入でも安心して比較できます。
製品概要
PIXUS XK140とXK510は、どちらもキヤノンが展開する高画質インクジェット複合機「XKシリーズ」に属するモデルです。
XKシリーズは、従来の「TS」シリーズよりも写真画質にこだわった上位ラインであり、家庭でも写真プリントを楽しみたいユーザーを中心に人気があります。
XK140はエントリーモデルとしてコストパフォーマンスを重視し、印刷コストや本体価格を抑えつつ、基本的な複合機機能（コピー・スキャン・無線接続）を網羅。
一方のXK510は、6色インクシステムと最新エンジンを採用し、より高精細な写真印刷を可能にしています。操作性・通信機能も強化され、スマートフォンからの印刷やクラウド連携をより快適に行える仕様です。
この2機種はどちらも家庭用ですが、目的に応じた差別化が明確で、写真派と文書派のどちらにも対応するラインアップ構成となっています。
XK140 の基本スペックと主な特徴
XK140は、5色ハイブリッドインク（染料4色＋顔料ブラック）を採用し、日常文書から写真印刷まで幅広く対応する万能型モデルです。
本体サイズはコンパクトで、約372mm（幅）×315mm（奥行き）×126mm（高さ）。設置スペースを取らず、家庭の棚やデスクにも収まりやすい設計です。
印刷コストはL判1枚あたり約12円程度と低コストで、月数十枚の印刷を想定したユーザーに最適。
スマホアプリ「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」による印刷や、音声アシスタント対応（Google Assistant／Amazon Alexa）もサポートしており、利便性の高い構成となっています。
基本的な操作は2.7型のカラー液晶で直感的に行え、初心者にも扱いやすい点が評価されています。
XK510 の基本スペックと主な特徴
PIXUS XK510は、シリーズ中でも特に写真画質にこだわったモデルで、6色ハイブリッドインク（グレー追加）を採用しています。
これにより、モノクロ写真や淡い色調のグラデーションがより自然に再現でき、従来機種より色再現性が向上。
印刷速度もL判写真が約10秒と高速で、印刷頻度が高いユーザーに適しています。
給紙方式は前面・背面の2WAY給紙に対応し、普通紙と写真用紙を同時にセット可能。
また、5GHz帯のWi-Fi通信に対応しており、混雑した環境でも安定した無線接続を実現しています。
タッチパネル式の4.3型液晶ディスプレイを搭載し、操作感もスマートフォンに近い直感的なUIに進化しています。
両モデルの位置づけ・ターゲットユーザー
XK140は「コスパ重視の家庭用プリンター」として位置づけられ、主に文書印刷や年賀状、たまの写真プリントを楽しみたい層をターゲットとしています。
一方、XK510は「写真品質と操作性を両立したハイエンド家庭モデル」であり、フォトブック制作や趣味の写真印刷など、画質重視のユーザーに最適です。
つまり、印刷頻度や重視するポイントによって選択が変わるモデル構成となっており、家庭用プリンターに求める“使い方の軸”を明確にすることが選び方のカギになります。
主な違いを比較
PIXUS XK140とXK510は同じシリーズ内でありながら、内部構造や印刷品質において明確な差が設けられています。
ここでは、代表的な比較ポイントを詳しく見ていきましょう。
特に「インク構成」「印刷速度」「ランニングコスト」「画質」「機能性」の違いは購入前に理解しておくべき重要要素です。
インク構成・色数
XK140は5色（染料シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック＋顔料ブラック）構成で、写真と文書の両立を狙ったバランス設計です。
一方、XK510は6色（グレー追加）構成で、特に黒の階調や陰影表現で優れた再現性を発揮します。
グレーインクの追加により、モノクロやポートレート印刷で滑らかなトーンが得られるため、写真画質を求める人にはXK510が向いています。
また、どちらもキヤノン独自の「ChromaLife100」技術に対応し、アルバム保存でも100年耐久を誇りますが、XK510の方がプロ用途にも耐えうる色安定性を持ちます。
印刷速度・コスト（ランニングコスト）
XK140はL判写真の印刷時間が約19秒で、普通紙のモノクロ印刷は約10ipmと一般的な速度です。
対してXK510はL判約10秒・モノクロ約15ipmと高速化されており、印刷頻度が高い環境でもストレスなく出力できます。
ランニングコストはXK140がL判1枚約12円、XK510が約14円前後。
XK510は若干高めですが、その分の画質向上が得られるため、コストよりも品質を重視するユーザーに支持されています。
解像度・画質面の違い
PIXUS XK510は、解像度9600×2400dpiに対応し、微細な色の階調や滑らかなグラデーションを忠実に再現します。
特にポートレートや風景写真の印刷において、影やぼかしの表現力が高く、フォトプリント品質を求める層には最適です。
一方のXK140は4800×1200dpi対応で、一般的な写真や年賀状、文書印刷には十分な画質を提供しますが、写真愛好家が求める繊細な表現では若干の差を感じることがあります。
ただし、インクの発色や耐光性は両モデルとも高水準であり、日常利用では大きな差を体感しにくい場合もあります。
画質面の違いを重視するなら、やはりグレーインク搭載のXK510が優勢です。
機能・使い勝手（UI・給紙方式・接続）
操作性の面では、XK510がより直感的で快適な設計となっています。
4.3型タッチパネル液晶はスマートフォンのように操作でき、設定変更やクラウド印刷もスムーズです。
XK140は2.7型カラー液晶を採用しており、ボタン操作中心の構成でややシンプルですが、日常用途には十分。
給紙方式はXK510が前面カセット＋背面トレイの2WAY対応、XK140は背面給紙のみです。
前面給紙があることで写真用紙と普通紙を同時にセットできるため、頻繁に印刷する場合はXK510が便利です。
どちらもWi-Fi接続・スマホアプリ印刷・音声操作に対応していますが、XK510は5GHz帯対応のため、電波干渉が少なく通信が安定しています。
デザイン・外観・サイズ・重量
XK140はコンパクト性を重視した設計で、家庭用の棚やデスク上にも設置しやすい小型筐体です。
サイズは約372×315×126mm、重量約5.8kgで軽量。
XK510は高級感のあるマット仕上げのデザインで、やや大型（約399×410×147mm／約6.6kg）ですが、上位機種としての存在感があります。
液晶部は角度調整が可能で、机の高さに応じた視認性の良さも特徴です。
どちらも静音モードを搭載しており、夜間の印刷や集合住宅でも快適に使えます。
価格・導入コスト
本体価格はXK140が約2万円前後、XK510が約3万円後半〜4万円台が相場です（2025年11月時点）。
価格差はありますが、印刷コスト・機能・画質を総合的に見れば妥当な差と言えるでしょう。
XK140は初期導入コストを抑えたい人、XK510は長期的に高画質印刷を楽しみたい人に向いています。
いずれのモデルも独立インクタンク方式を採用しており、使い切った色だけ交換できるため、無駄なコストを防げます。
年間の印刷枚数や使用頻度を考慮して、トータルコストで判断するのがおすすめです。
どちらを選ぶべきか？用途別おすすめ
PIXUS XK140とXK510のどちらを選ぶかは、利用目的と印刷頻度によって明確に分かれます。
ここでは、代表的な使用シーンごとにおすすめモデルを紹介します。
自分の用途をイメージしながら、より満足度の高い選択をしましょう。
写真をきれいに多く印刷したい場合（フォトプリント重視）
フォトブックや家族写真、旅行写真を頻繁に印刷する場合は、XK510一択と言っても過言ではありません。
6色インクによる滑らかな階調表現と、9600dpiの高解像度により、光沢紙でも自然で深みのある発色を実現します。
また、モノクロ写真でもグレーインクが効き、階調豊かな仕上がりになります。
L判連続印刷でも速度が落ちにくく、画質・スピード両立を求める人に最適です。
文書＋写真もそこそこ、コスト重視の場合
年賀状やチラシ、家庭内の文書をメインにしながら、時々写真も印刷したいという方にはXK140がぴったりです。
印刷コストが安く、インクの交換頻度も少なめなので、維持費を抑えつつ使いやすさを重視できます。
また、軽量で設置が簡単なため、狭いスペースにも対応。
高画質を求めすぎず、バランス良く使いたい方におすすめのモデルです。
家族共有・軽めの用途／初めてプリンターを導入する場合
家族で共用する場合や、初めてプリンターを購入する場合は、操作がシンプルでコスパに優れたXK140がおすすめです。
2.7型液晶とわかりやすいメニュー構成により、パソコンに不慣れな人でも直感的に操作できます。
また、スマートフォンから直接印刷できる「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」アプリに完全対応しており、アプリ上で写真選択→印刷が完結。
家族の写真や学校・仕事の資料などを気軽にプリントできる点が魅力です。
さらに、消費電力が少なく、省エネモードや自動電源オフ機能も備えており、家庭環境で安心して使えるモデルです。
購入時の注意点・確認しておきたいポイント
プリンターを購入する際は、スペック以外にも「設置スペース」「給紙方式」「対応用紙」など、実際の使い勝手を考慮することが重要です。
XK140とXK510はいずれも高機能モデルですが、細かな部分に違いがあるため、事前に確認しておくと失敗がありません。
ここでは、購入前に押さえておくべき注意点をまとめます。
インクカートリッジ・消耗品について
両モデルとも独立インクタンク方式を採用しており、必要な色だけを交換可能です。
ただし、インクの型番が異なるため、購入時には対応カートリッジを確認しましょう。
XK140は「XKI-N11／N10」シリーズ、XK510は「XKI-N20／N21」シリーズを使用します。
また、非純正インクの利用は目詰まりや発色不良のリスクがあるため、長期的に使う場合は純正インクを推奨します。
写真品質を維持したい場合は、同社純正の光沢紙やマット紙を組み合わせるとより高品質な印刷が可能です。
設置スペース・給紙方式／用紙対応をチェック
XK140は背面給紙のみのため、設置場所の背後にある程度のスペースが必要です。
一方、XK510は前面カセット＋背面トレイの2WAY対応なので、壁際にも設置しやすく、写真用紙を常時セットする運用にも向いています。
また、どちらも最大A4サイズ対応ですが、L判・2L判・スクエアなど多様な用紙サイズに対応しており、写真やカード作成にも柔軟に対応します。
家庭での使用頻度や設置環境に合わせて、最適な給紙方式を選びましょう。
Wi-Fi／スマホ連携／クラウド対応の実用性
両モデルとも無線LAN対応で、スマートフォンやタブレットから簡単に印刷できます。
特にXK510は5GHz帯に対応しているため、通信の安定性や転送速度が優れており、写真データの転送もスムーズです。
また、「PIXUS Cloud Link」機能により、GoogleフォトやDropbox、Instagramなどのクラウドサービスから直接印刷も可能。
XK140も同機能を備えていますが、通信安定性とUI操作性ではXK510が一歩リードしています。
スマホ中心で使う場合は、アプリとの連携性を重視して選ぶと快適です。
修理対応・アフターサービス・保証期間
キヤノン製プリンターは、標準で1年間の保証が付属しています。
さらに、延長保証サービス（有償）を利用することで、最長3年間のメーカーサポートを受けられます。
XK510は上位モデルのため、パーツ在庫や修理対応期間も比較的長く、長期利用にも安心です。
また、どちらも「おうちで修理受付」サービスに対応しており、郵送で簡単に修理依頼が可能です。
長く安定して使いたい場合は、保証の有無と期間もチェックしておくと安心です。
まとめ
PIXUS XK140とXK510は、どちらも2025年10月に登場した新しい家庭用プリンターとして、低ランニングコストやスマホ連携といった共通機能を備えています。
ただし、その中で「色数／画質」「印刷速度」「ランニングコスト」「価格」という軸では明確な違いがあります。
XK510は6色ハイブリッドインクによるより高画質な写真プリント、約10秒という高速L判出力を実現しており、フォト用途を重視する人に向きます。
一方でXK140は5色ハイブリッドインクでありながら、ランニングコストや価格を抑えており、文書＋写真をバランス良く、家族や日常用途で使うには十分な性能を備えています。
選ぶ際には、自分が「どれくらい写真を印刷するか」「どこまで画質にこだわるか」「ランニングコストをどれだけ重視するか」の３点を改めて考えることが重要です。
どちらを選んでも最新インク・スマホ連携・Wi-Fi（5GHz）対応など現代の家庭用プリンターとして優秀ですが、用途と価値観に応じて最適なモデルを選びましょう。
