家庭用インクジェット複合機として注目の Canon PIXUS TS5630 と Canon PIXUS TS7630。
両機とも新モデルとして登場しながら、その価格帯・機能・対象ユーザーには明確な違いが存在します。
本記事では、印刷解像度・速度・給紙方式・スキャン機能といった仕様の比較を通じて、「書類メインに使うならこちら」「写真・作品印刷にもこだわるならこちら」といった用途別の選び方を明らかにします。
プリンター選びに迷っている方は、各モデルの特徴を確認して自分に合った1台を選びましょう。
機種概要
TS5630 と TS7630 は、いずれも Canon の PIXUS シリーズに属するインクジェット複合機です。
家庭や小規模オフィスでの使用を想定しており、印刷・コピー・スキャン機能をコンパクトな筐体にまとめたモデルです。
TS5630 は「コストパフォーマンスとコンパクトさ」を重視したエントリーモデルで、TS7630 は「写真印刷品質と使い勝手」を高めた上位モデルに位置付けられます。
それぞれの特徴を踏まえると、用途や求める品質によって最適な選択が異なります。
Canon PIXUS TS5630 の特徴
TS5630 は ADF(自動原稿送り装置)を搭載し、複数ページのスキャンやコピーを効率的に行える点が特徴です。
印刷解像度は最大 1,200×1,200dpi で、書類やレポートなどの文書印刷に向いています。
コストを抑えた独立インクシステムを採用しており、インクの無駄が少なく経済的。
また、コンパクトなサイズ感で設置場所を選ばない点も、家庭用として人気の理由です。
Canon PIXUS TS7630 の特徴
TS7630 は 4,800×1,200dpi の高解像度印刷に対応し、写真やイラストなどの精細な印刷に強みがあります。
フロント給紙・リア給紙の両方に対応し、用紙の切り替えや収納が容易です。
また、タッチパネル式の大型液晶を搭載しており、操作性が向上しています。
スマホやタブレットからのワイヤレス印刷もスムーズで、家庭内ネットワークとの親和性も高いモデルです。
主なスペック比較
TS5630 と TS7630 のスペック差を明確にすることで、どちらが自分に向いているか判断しやすくなります。
印刷解像度、速度、ランニングコスト、給紙方式など、使用環境や目的によって評価が変わるポイントを順に確認していきましょう。
印刷解像度・ノズル数
TS5630 は最大 1,200×1,200dpi に対応しており、一般的な文書や資料印刷に十分な品質を確保しています。
一方、TS7630 は 4,800×1,200dpi の高精細印刷を実現し、グラデーションや写真の階調表現に優れています。
ノズル構成も TS7630 の方が多く、インクの粒度が細かいため、色のにじみやムラが少ない仕上がりになります。
印刷品質を最重視するなら TS7630、実用的な印刷を重視するなら TS5630 が適しています。
印刷速度・ランニングコスト
印刷速度は TS7630 の方が若干速く、標準文書印刷で約 15ipm(カラー約 10ipm)程度です。
TS5630 はそれよりやや遅く、約 13ipm(カラー約 7ipm)ですが、一般的な家庭利用では大きな差を感じにくいでしょう。
ランニングコスト面では、どちらも独立インク採用で効率的な印刷が可能ですが、インクの種類や画質設定により若干の違いがあります。
コスト重視なら TS5630、高品質重視なら TS7630 という棲み分けです。
給紙方式・操作パネル・サイズ
TS5630 は背面給紙のみ対応で、用紙交換が簡単な反面、給紙トレイが露出する構造です。
TS7630 は前面カセットと背面給紙の両方を備え、用紙を入れ替える手間が少なくなっています。
また、TS7630 の操作パネルは大型タッチ液晶式で、設定変更やメニュー操作が直感的に行えます。
本体サイズは TS5630 の方がコンパクトで、狭いデスク上でも省スペースに設置可能です。
スキャナー・コピー機能/付加機能
TS5630 は ADF に対応しており、複数ページを自動でスキャン・コピーできる点が強みです。
一方 TS7630 はフラットベッドスキャンに特化し、写真や厚紙のスキャンに適しています。
また、TS7630 はダイレクトプリントやクラウド連携などのスマート機能も充実しており、家庭内ネットワークとの連携がスムーズです。
用途によって「書類中心」か「写真・作品中心」かを基準に選ぶとよいでしょう。
どちらを選ぶべきか?用途別おすすめ
TS5630 と TS7630 は、同じ PIXUS シリーズでもコンセプトが異なるモデルです。
「何を印刷するのか」「どのような頻度で使うのか」によって、最適な機種は変わります。ここでは、用途別におすすめの選び方を紹介します。
「書類メイン/スキャン枚数多め」の使い方に向くモデル
ビジネス書類や資料の印刷・スキャンを多く行う場合は、TS5630 の方が適しています。
最大の理由は、ADF(自動原稿送り装置)の搭載です。複数ページを自動でスキャン・コピーできるため、作業効率が格段に向上します。
また、印刷速度や解像度は必要十分で、一般的なテキスト中心の文書やレポート作成に最適です。
インクコストも低めに抑えられており、ランニングコストを重視するユーザーにも向いています。
「書類をたくさん処理したい」「頻繁にコピーを使う」という用途なら、TS5630 が実用的でコスパの高い選択です。
「写真印刷・作品クオリティ重視/多用途」の使い方に向くモデル
一方で、写真やイラストなどを高品質で印刷したい場合は、TS7630 が最適です。
4,800×1,200dpi の高解像度により、色の階調や光沢感をしっかり再現できます。
特に年賀状やポストカード、作品印刷など、「見た目の仕上がり」を重視する人に向いています。
さらに、フロント給紙・リア給紙の両対応で用紙切り替えが容易なほか、スマホ連携やクラウド印刷もスムーズです。
デザイン・制作・家庭用写真プリントなど、多目的に使いたいなら TS7630 の満足度は高いでしょう。
購入時のチェックポイント・注意点
TS5630 と TS7630 を比較検討する際には、スペック表だけでなく実際の使用環境や設置条件にも注意が必要です。
ここでは、購入前に確認しておくべき重要なポイントを解説します。
設置スペース・高さ制限
TS5630 はコンパクトサイズで、設置場所を選ばないのが魅力です。
一方、TS7630 は前面トレイや可動パネルがあるため、高さや奥行きに多少の余裕が必要になります。
特に棚の中やデスク下など限られたスペースに置く場合は、トレイの開閉スペースを確保しておくことが大切です。
設置後に「思ったより大きかった」というケースもあるため、寸法確認は購入前に必ず行いましょう。
インクコスト・ランニング費用
インクの交換頻度やコストは、長期的なランニングコストに直結します。
TS5630 は標準的なインク構成で、テキスト中心の印刷では経済的に運用できます。
一方、TS7630 は高解像度印刷に対応しているため、写真印刷を多用するとインク消費がやや多くなります。
印刷頻度や内容に応じて、純正インク・互換インクのコストを比較しておくのが賢明です。
給紙トレイの使い勝手・操作性
TS5630 は背面給紙のみで、シンプルな構造が特徴です。
TS7630 は前面・背面の両方から給紙できるため、普通紙と写真用紙を切り替える手間が省けます。
また、TS7630 の操作パネルは大型タッチ液晶で、メニューの切り替えや設定変更が直感的です。
操作性を重視するユーザーにとっては、TS7630 の方が使い勝手が良いと感じるでしょう。
まとめ
TS5630 と TS7630 には、明確な差があります。
まず、解像度やノズル数・給紙方式・操作パネルといった“プリンターとしての利便性・画質”において、TS7630 の方が上位仕様となっています。
例えば、TS5630 が「1,200×1,200dpi」仕様なのに対し、TS7630 は「4,800×1,200dpi」仕様という記載があります。
一方で TS5630 は、スキャン用途で有利な ADF(自動原稿送り装置)付きモデルであり、書類作成・スキャン・コピーを多用するユーザーには魅力的です。
用途を整理すると「大量の書類をまとめてスキャン・印刷したい」「コストを抑えてシンプルに使いたい」なら TS5630、「高解像度で写真や作品もきれいに印刷したい」「給紙トレイや操作性も重視したい」なら TS7630 が適しています。
設置スペース(特に高さ)・インクコスト・給紙方式などの“使い勝手”の差も確認して、自分の用途と環境に合ったモデルを選びましょう。
最終的には、「自分が何を印刷するか」「どれだけ使うか」という観点が選定の鍵になります。どちらが“ベスト”かは、あなたの使い方次第です。




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